8年のフランス生活にお別れを (3) 〜フランスを去る急な決心〜

そこで、僕は、大学院以降をフランスでお世話になり、修士号を得、博士課程の学生として、たまたまの流れで任期付きの常勤講師(ATER)までさせていただいた日本人という外人として、自分のフランス社会における位相と将来を考えてみた。

第一には、我々日本人はフランスでは随分好待遇をしていただけ、その点フランスとフランス国民には大感謝である。

外人嫌いや有色人種嫌いの人間は一定数いるが、通常は日本人だからという理由で差別されることはまずない。

しかし問題は、一に経済、二にFeelingである。

経済に関しては、フランス社会で生きるにあたり、自分の金で存分に遊び人の自分の心を満たし、今や20代のほぼ全てを過ごした第二の故郷フランスと、愛する祖国を往復しながら暮らすことは不可能であると思うに至った。

僕が2年間国家公務員として賜った月棒20万ほどの給料は、フランスでは良い給料とされる。
普通のフランス人なら「2000ユーロ、いいねー!」と言う。

しかし、物価高につけ、家賃は光熱費やインターネット費などを込めれば10万は超えるから、食費を含めれば、絶対に貯金ができる構造ではない。

それどころか、僕の場合、出費はオーバーし親の金を使い込んでいる有様で、女に奢るのも友達に奢るのも親の金であることがほとんどである。

日本へ往復する飛行機代は自分でなど到底払えない。

さらに、講師になってビザが学生から仕事人に変わったが、学生ビザ時分に免除であった住民税の10万円ほどが突如訪れた。そして、税金のことなど露知らず、貯金のない僕は、親にそれを払わせた。

この時に、自分の無様さに、顔で笑って心で泣けたのである。

この無様なサンピンの俺は、どこへ行かん。

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