さらばパリ(2)〜地獄の引越。しかし友情。これがセ・ラ・フランス〜

フランス人はほとんど引越し屋を使わない。

運転できる友達にトラックの運転を頼み、友達を動員して行う。

僕も2回ほど手伝ったことがある。

もちろんフランス人はケチだから、謝礼文化はなく、引っ越し終了後に、軽く乾杯をする程度のものである。

こちらも、友達だから手伝っているのであって、そうでなきゃ手伝わないから、友情が本物かどうかが問われる。という行為に引っ越しはなっている。

「どケチだけど親しい人にはハートフル」という典型的なフランス人の特性が現れるのが引っ越しである。

私のこの度の引っ越しの行程。パリから片道70キロのフォンテーヌブローまでは、大親友のフランス人二人にお願いしてある。

フランス人の親友は何人かいるし、友達に広げれば、また少し増えるが、何年も一番仲がいいのはこの二人。あうんの呼吸の僕ら三人なのである。

そして、僕が引っ越しを手伝ったことのある友人たち含め、たくさんの人にお願いできないわけではないが、今まで家具付きの物件にいたので、そこまでの人数は必要ないし、僕は日本人なので、謝礼をしないと気持ちが悪い。親しいからこそ、何もしないで、善意に甘えるだけでは示しがつかないような気がする。

親しき仲にも礼儀ありという日本文化のままに、彼らは僕より若いので、少し包みたいと思うし、ちゃんとしたレストランにも招待する。だから、5人も6人も手伝いがいたら、僕の給料ではそれは叶わないので、大親友の二人に助太刀を願った。

そこからが、フランスだよなという物語の始まり。

予定としては、無事に2018年の9月16日日曜日に引っ越しを完了するはずであった。

4日前に、ネット予約で、大手レンタカー会社SIXTで、日曜朝8時から業務用のVanを借りる。

ところがどっこい、借りた翌日あたりに、次の日曜日は、朝の11時から夜の18時まで、環境保護デーのために、パリ市内は公共交通機関を除けば、車が一切走れないというお触れが出ていることを知る。

行政があらかじめ日にちを決めていることなのに、なんで直前になって噂話で行政命令を知るんだよと、まあいつものことながらイライラする。

メトロの広告などには出ていなかったし、まったく市民生活に直結する布告を周知するという気がない。

それでいてサイトに行くと、引っ越しなどで車をどうしても使わなくてはならない人は、2週間前までに、パリ市役所まで、許可証を申請してくださいとある。

これがフランスの行政能力である。

もはや時すでに遅いし、レンタカー屋なんかそういうことは随分前から知っているはずだから、ネット予約でもそういう日だという旨を明記してくれればいいのに、もちろんそんなことはなく、全く市民や顧客のことを考えていない。

そもそも、常々北京並みの大気汚染のパリに、そんなパフォーマンス的な環境保護イベントをやったって無駄で、石原慎太郎が、トップダウンで東京に旧式ディーゼル車が入れなくしたように、根本から問題解決にあたらなくては、環境なんて改善しない。数年後からようやく取り組むみたいだが。

また、21世紀にありながら、市民への法令の周知がいい加減で、噂話に頼っているというところも、識字率の高い民のレベルもあるが、高札で御触れを民に知らしめた徳川幕府の方が何枚も上手である。

現代のフランスの行政と徳川幕府の行政では、はるかに徳川幕府の方が優れている。

何につけても、そんな古代的なフランスである。

ただ、車は朝8時から借りているから、11時までに荷積みをしてパリから出てしまえばいいので、まあOKとたかを括った。

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2 Responses to さらばパリ(2)〜地獄の引越。しかし友情。これがセ・ラ・フランス〜

  1. H.Megumi のコメント:

    フランス式洗礼を受け乍らのお引っ越し、お疲れ様でした。
    何処に居ても何が有っても、信頼出来る友の存在は、何物にも変え難い宝物ですね。
    新しい場所での新生活、楽しんで下さい。
    <幸せな結末>UPも楽しみにしております。

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