パリを嫌うフランス人たち

また一人フランス人の友達がパリを去る。

それにしても、フランスに住んで色々な人と関われば、パリというのは、フランス人の中にこそアンチの多い街であり、半分のフランス人はパリを嫌っていることに気づかされる。
そして、その嫌いようといったら生半可なものではない。

このことは、日本人でも、パリでないフランスに少し住んだ人や、地方出のフランス人などと関わった人ならご共感を賜われるであろう。

パリ以外でパリの話をしたり、たとえパリの中だとしても、パリ人以外のフランス人とパリの話になれば、パリの悪口大会になることは実に常のことである。

それはパリから東南へ70キロ、電車とバスを乗り継いで一時間の距離にあるフォンテーヌブローでも同じことである。
ここはパリの通勤圏であり、僕とて毎日のようにパリへ登るのに、口裏を合わせているかのように万人が万人パリを嫌っている。

フォンテーヌブローの行きつけのバーのオーナーは、パリがこんなに近いのに、年に3、4回しかパリへ行かないと言ってはばからない。
フォンテーヌブロー在住のパリ市警の警官の友達も、先日ムーラン・ルージュで有名なパリの歌舞伎町的歓楽街ピガル地区の署から郊外の署への転属が決まり大喜びしていた上に、パリなんか行きたくもないと言う。
フォンテーヌブローのクラブの料理人は、10年間パリに足を踏み入れていないことをまるで勲章を見せびらかすように言いふらして自慢している。
フォンテーヌブローでパリ大学で博士課程兼任講師をやっているなどというと、「え、パリに通勤しなきゃいけないの?」と御愁傷様の眼差しを向けられる。
フォンテーヌブローの若者は、実家がブルジョワが多いから、大学の時はパリにいたけれども、その後パリを憎むようになって30歳前後で無職であろうが職があろうがUターンしてくる人間ばかりである。
フォンテーヌブローでは、繰り返すが、パリ好きなフランス人など本当に皆無だから、パリと聞いただけでみんな悪口を言い出す。

国際漫画フェスティバルで有名なアングレームの出の僕の友人のフランス人女性は、大学でパリに来て、パリで就職先を見つけて一、二年経つか経たないかの間に転勤願いを出してグルノーブルへ行ってしまった。彼女は最初からパリが嫌いで悪口をしていたし、パリには二度と戻らないという。

昨日は、フランス人の友人の誕生日会にお招きいただいてパリへ行ってきたが、彼女もあと数週間で彼氏と南仏のニース近くの街へ引っ越してしまう。そこで出会ったもう一カップルも、来月ディジョンに越してしまう。

みんなパリのど真ん中で行われた誕生日会で、パリに住みたくないと宣言していた。
パリの中心でパリをDisる。か。

中央集権で政治経済がパリ一局集中のフランスにありて、多くの若者は学業や就職のためにパリに登らねばならない事実がある。しかし、相当多くの若者が、転勤だのなんだのあらゆる手段を利用してそこからの脱出を試みることもまた事実である。

僕は常日頃パリ嫌いの連中の捨て台詞を聞いているが、これはこのViceの記事、「パリは地球上最悪の場所ーロンドン、バルセロナより悪い・地獄より悪い・あらゆるものより悪い」に上手く表されているから、これを要約しつつ私見を述べよう。

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