フランスと人種差別

それから、この番組は、中華料理屋で、やらせで、中国を馬鹿にして注文する男二人と客の反レイシズムの女が喧嘩をし、周りの一般客がどういう反応をするか隠しカメラで検証することにした。

ケース1(女優の出る幕を作れず、少し失敗)
黒人のおばさんは「笑えない」と注意を始め、白人のおばさんが男二人に「出て行った方がいいわ」と注意する。

ケース2(これも女優の出る幕なし)
隣のアジア系の客を巻き込んで、からかい始めた二人に、アジア人女性の客が怒り出す。
後ろのおじさんにも絡もうとして、説教を食らう。

次に、場所を華僑のカップルが経営するタバコ屋に変えて、同じ検証をする。

ケース1
となりのおじさんに「華僑の店が増えて嫌じゃない?」と聞くが、微妙な感じでいなされる。

ケース2
白人移民系の女の子をからかうが、はにかんでそそくさと逃げられる。

ケース3
黒人のお兄さんに、「出て行けば」と叱られる。

ケース4・5・6
おじさんに「お前に金があるなら華僑のタバコ屋を買えよ」と嫌味で返され、次の混血の女のおばさんには、「華僑の店でも問題ない」などと反撃される。
アラブの大男に、「華僑が自分たちの金で営業しているのだからほっといてやれ、暴言をはくな。鎮静剤を飲んでとっとと寝ろ」と怒られる。

ケース7・8
この人も混血だと思うがおばさんと若い白人の女の子に、「タバコ屋や日本食レストランが華僑まみれで怖くない?」と絡むが、適当に「そんなものよ。」と困った感じでいなされる。
ヒゲの男にも、「そんなのショックでもなんでもない。」と拒絶される。

この検証では、女優の出る幕もないし、俳優陣が攻撃的なアラブ人に見えるから、みんな絡みたくないという感じが出ていて、全くヘイトの現場を引き出せなかった。

ただし、こういう実験がある事自体、華僑を中心としたアジア人差別が根深くあるということでもある。

事実、カンボジア人やベトナム人は中国人扱いで、日本人も中国人と思われている段階において、道などで差別発言を受けたりすることはある。

しかし、日本人の場合は事情が異なる。

日本人とわかった時点で、懇切丁寧に扱ってもらえるし、私が大学で教鞭をとらせていただいているように、日本人は学校の教師や白人とコラボできるレベルのアーティストなど、フランスにおいて上位の社会階層にお招きいただける。
通常日本人は移民ではないから、日本人は他の移民アジア人とは社会の立ち位置が同じではないのだが、お客様枠といった感じでフランスでは明らかに良くして頂ける。

日本人であるということは、フランスにおいてはメリットしかない。

これは、日本が植民地化を免れ、帝国主義の時代に有色人種唯一の実態を伴う帝国として列強に伍したということ。
あるいは、伝統文化でも、源氏物語でも三島や康成といった現代文学でも、小津安二郎や成瀬巳喜男、黒澤や三船やTakeshi Kitanoといった映画にせよ、フランス人の白人知識階層に受ける文化を日本が有し、文化の高い民族という尊敬の眼差しで日本人が見られていること。
この二つの事実のために、フランスにおいてアジア人の日本人が、人種差別から逃れられていると考えられる。

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