フランスにおける若者の「右傾化」と日本

メディアが盛んに若者の「右傾化 / droitisation ドロワティザシオン」が悪い事であると社会に流布するのは、フランスも日本も全く同じである。

戦後、フランスにおいても日本においても、論壇や学問・メディアの世界は左派が席巻した事実がある。反戦、平等、人類愛、国境なき世界、こうした人間が全て邪な心を微塵も持たない善人であって初めて成立する世界を信奉し、それを唱えることが正義とされてきた。
そして、これに疑義を挟む、すなわち現実問題を直視し、リアリストな批評や言論をする自由は著しく制限されてきたのが戦後の列強世界であるといえよう。

ただ、この風向きは、トランプ現象をして明らかなように、変わりつつある。
この令和元年の参院選でも、このところ常のことだが若者の投票先が多く自民党であることが報じられた。又、今年のEU議会選挙でもフランスで勝利を収めたのは、EUを懐疑し、フランスファーストを掲げるRN(国民連合)であり、これを多くの若者が支持している。

そしてメディアの論調は、日本では若者が自民党を支持することはけしからんということであるし、フランスでも得てして、RNを、というよりかアイコンとしてのルペン党首を支持するなんて狂気の沙汰といった感じである。

このフランスの若者の「右傾化」については、グルノーブル政治学院のヴァンサン・トゥルニエ氏が分析している
反権力、アンチカトリックなど、若者の多くが左派を担ってきたフランスにあって、どうして若者が右傾化しているのであろうという検証である。そして、背景にあるのは、移民問題、国境の必要性などテロ関連の安全保障、死刑の必要性、こうしたリアリストの意見の高まりがある。

氏曰く、このリアリズムが勃興したのには、60年代70年代の大量移民をはじめとする移民政策の失敗と、それによりもたらされた文化的ショックがあるという。
そして、当時のFN(現RN)のルペン派は、こうした人々の疑念に上手に入り込んできたという訳である。
とりわけイスラム教徒の移民たちが、フランスへの「intégration アンテグラシオン 同化」を拒み、イスラム信仰を先鋭化させもすれば、2014年のある調査では47%のフランス人が反白人のレイシズムを感じるというが、そういう移民のフランスへの同化の不可能性があり、これに対する現実的な対策が求められている。
ちなみに、フランスにおいては白人が実際吊るし上げられたりすることがある。対白人レイシズムというのは一体どういうものなのか、この動画を見れば感じは掴めるであろう。

こうして、実体験や感覚をして、リアリストになり、あるべき白人国家としてのフランス像を求め「右傾化」するのである。

そして、人は社会に活力がみなぎる時には、夢を抱き、これを高らかに語るが、社会が不景気に沈み、人生設計の見通しが立たなくなると、極めて現実的になる常道がある。
豊かであるときには、若者を中心に街に夢想家は溢れ、従って行きすぎた性善説に基づく左派の夢は膨らむが、現代のように社会が低迷すると、現実主義に依拠した、現実的な政治を若者は求める。

カテゴリー: 社会批評 パーマリンク

コメントを残す