日本学を学ぶフランスの生徒たち 〜日本趣味かオタクか、あるいはホモか〜

・ある女学生の涙

ある1年生の女学生が、家族に日本学科に在籍し続けることを反対され、今年を限りに辞めざるを得ないかもしれない、ということを泣きながら相談してきた。

特にお父さんから、何にもならない日本学をやるよりも、法学や経済学など将来的に就職しやすい学部へ転科しろと命令が下ったと言う。

そこで僕は、「父君の仰ることは、半分正しい」と答えた。

そして、授業でも折に触れて言っているが、改めて、以下の2点に関して話をした。

1. 日本学の学士号など、就職に際して何にもならないということ。もし、日本学者で食っていこうと腹に据えているなり、人生を通して日本に仕事で絡んで離すまいという覚悟がないならば、失業一直線であること。

2. 日本語を勉強したり、日本に関わっていくアクセスの仕方は、何も日本学科だけではないということ。語学学校や日仏交流のアソシエーションや、パリ日本文化会館のイベント、ワーキングホリデーなど、日本という外国への関わり方は様々であり、趣味レベルならそれで十分であるということ。

ということで、将来フランスで普通に仕事にありついて、同時に大好きな日本文化にも触れたいという2つをゲットするなら、やはり、法学や経済学などの実学を修めないと、この社会構造の中では立場は弱くなる。これは日本と同じ。

2019年で8.8%の失業率。2018年11月で25歳以下の21.8%が失業しているフランスである。
仕事があると言っても、55%は非正規雇用だから、こんなフランスにあって、ビジネスライクな学問を修めないということは、自分から社会の弱者になろうとするようなものであると、残念ながら言わざるを得ない。

僕も史学に進むと決めた時は、いわゆる企業のサラリーマンにはなれないし、なりたくもないと決めてかかったものだが、史学科へ入るのも、ただ歴史が好きで、などという理由の場合、就職には大不利で、大変なことになる。

かつてパリ第七大学で、フランス史の学士課程を聴講して、友達ができたが、その界隈で、卒業後に正規の職業についている人間など皆無で、せいぜいいいところ、中学の代用教員や、史資料保全の契約公務員などである。
歴史学も実学でないから、失業一直線。

もちろん、法学や経済学を、学部レベルで修めたところで、学問をしたとは言い難いし、人の頭がいいか悪いか、人格が良いかそうでないかなどは、修める学問により変わるわけではない。

しかし、日本においてもフランスにおいても、社会の構造が、非実学を必要としていないのだから、その本質の無意味さを突いて、社会を変えていかない限り、当面は学位のために就職のし易さに差が出るのは、仕方がない。

カテゴリー: フランスから見た日本, フランスの現実, 日仏比較 パーマリンク

コメントを残す