EU議会選前夜のフランスの雰囲気 〜Brexit・Frexit?ナショナリズムのカムバック〜

ルペンは、EU離脱の強硬派の一人とも目されていたが、女性ということもあってか、目的達成のためなら、マイルドに段階を追うことが好きなようで、本音はフランスのEU離脱と言われるが、4月の段階で、まずはEU内の改革を目指すと宣言した。

Frexit!と言ってしまうと、EUに懐疑的なだけで離脱かどうかまだ悩み中の民衆が恐れる可能性がある。しかし、EU改革と言えばなんとなく聞こえはマイルドである。

とはいえ、この改革案を一瞥すればわかるが、彼女とその政党の発想は、内部からEUを無きものにして、崩壊させるに等しいものである。

そして今、ルペンはイタリアやクロアチアなどフランス以外も遊説し、ヨーロッパ中の反EU政党との連携に忙しい。つまり、反グローバリズム、国家主権の回復などを謳う、反EUでナショナリストの欧州各国の政党は、互いに連携しあって中からEUをぶっ壊そうとしている。

ルペンというか、国民連合の改革案の一部を紹介する。

まず、欧州委員会を廃止する。これは、EUの政策決定と運営を委員の合議制で行うEUの心臓なので、これを廃止するということは、EUが江戸幕府だとすると、老中・勘定奉行・寺社奉行・町奉行・大目付・目付から構成される委員会たる評定所がなくなるようなものである。
とすると、将軍がいても、幕府の政策を決定推進するモーターがなくなるわけだから、幕府が運営できなくなるように、EUも完全に形骸化というか骨抜きになるはずだ。

そして、EUとは別に存在する欧州評議会に、全権を委譲する。欧州評議会は、欧州委員会とは別でEUの機関ではなく、ヨーロッパの各国の代表が話し合って、ヨーロッパの価値観を一つに収斂させ場合により法律を作ろうというものだから、より各国の国家主権が強くなる。

ヨーロッパで一つの最低賃金を設定するのをやめる。

EUへのフランスの負担金を減らす。

EUの一つの主権に対し、国家主権の方を優位にする。

EU加盟国が死刑撤廃を批准する義務があることがいい例だが、現時点ではEUの決定事項には各国が無条件に恭順しなくてはならないが、これをやめて批准の如何は各国の自由選択にする。

現状の、別に議員を選出するEU議会ではなく、各国の国会議員の代表からなるヨーロッパ議会を作る。

つまり、これを見れば、国家主権を取り戻し、一つのヨーロッパというグローバリズムを終わりにし、EUを解体する思想であることがわかる。

ということで、「EUから我が国は抜けますからお後はどうぞご自由に」というものより、各国の反EU政党が連携してEUを中から終わりにするということで、EU改革派の方が離脱派よりEUにとっては打撃であろう。

そして、この国民連合は、移民を終わらせ、イスラム原理主義のモスクを閉鎖し、国境を取り戻し検問を復活させ、ヨーロッパの政策に関してフランス人たちが是々非々で判断する国民投票制度を確立し、国内の市場や労働者の保護のために、国家の国内市場への指揮権を創設する目標をも持つ。フランスファーストとでも言うべきか。

また、国民連合は、目下多くの支持率調査では第1党を走っている。マクロンの政党は自分一人では勝てないと見越して、左派連合と連携し22%の支持を得ているというが、国民連合は自力で24%である。

野合してどうなるかは最後までわからないが、実は政党別では国民連合一強時代なのである。

 

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