不自由がもたらす近現代の終わり

不法移民も暮らせるフランス

フランスは不法移民が公然と生きられる国であると言える。
不法移民は難民ではなく、「étranger en situation irrégulière 不法状態の外人」や、「immigration clandestines 不法移民」 、あるいは主に、「sans papiers 紙無し」と呼ばれ、フランスには、たくさん存在する。
不法状態なので、正確な把握はできないが、20から40万人の不法移民がフランスにいると見積もられている。

不法移民の定義とは、ビザもなくツーリストでもなく、フランスに到着して、難民として保護申請もしなければ、フランスへの滞在を求める書類も提出せずに居座る人々を指す。日本人にも案外こういう人がいる。
ルモンド紙のこの画像の青「Clandestin」である。

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このように不法移民が増大する原因としては、まず、EUのフランスには国境がないことにある。
空路なら空港に入管があり、夜行バスや鉄道で入国する時は原則的にチェックがあるが、徒歩や自転車、自家用車で陸路フランスに入る場合は何もなく、隣国から県を跨ぐのと同じように国を超えられる。

パリのテロの際に犯人が楽々ベルギーに逃げたことをご記憶の方も多いであろう。

また、日本人がフランスへ来る場合、フランスへは180日の期間に90日間までの短期滞在ならビザ無し渡航ができるから、フランスにはパスポートのみで入国できる。

日本人にもこの90日の期間を過ぎて、意図的にオーバーステイをして、不法移民化する人間もいるが、不法移民と言ったら、通常アラブアフリカ諸国からフランス目指して陸路海路はるばるやってくる人たちが連想される。

そして、フランスというのは、法治国家でありながら、国家が極めて杜撰な入管体制を敷いているため、そのせいで不法移民の天国と化している。そこは、オーバーステイや不法就労をしようものなら入管がすっ飛んできて即国外退去させられる日本とは違う。

また、この行政の杜撰さがフランスの不法移民を不必要に増やしているとも言える。

数十年前のパリ大学の日本人の先生も、先日の私も、マクロン政権下のビザ更新に際する周りの日本人たちも、行政側の不手際で紙無し不法移民・不法滞在者化したように、正規の手続きをしていても不法移民になることがある。(当該記事1当該記事2

この杜撰さの問題は、意図せず紙無し状態に陥った不法移民状態の人間が、国家公務員としてフランスの教壇に立てていることや、私の問題が発生した際、前学科事務長が「大学の職員にもたくさん紙無しがいるから大丈夫!」と仰ったように、不法移民が何故か働けるフランスの現状として現れている。

最近このことで社会問題になっているのは、れっきとした公職である、国営郵便局傘下の国営宅配便クロノポストで働いている大勢の黒人不法移民の問題である。

2019年6月11日から続くこの問題は、アルフォールヴィルというパリの郊外のクロノポストで雇用されている不法移民の黒人が大勢いることが発覚し、彼らが自分たちの不法状態の正規化を求めて、今日に到るまで、テント小屋などを立ててストライキやデモを行っているものである。

そして、実は、5月にシャルルドゴール空港の黒人不法就労者たちが空港のターミナル2Fで決起したのであるが、この夏には黄色いベスト運動に掛けて黒いベスト運動がパリのパンテオンで起こった。
黒人の不法移民状態の人々が立ち上がり、「全ての人間に住居を、ビザを!」と要求している。

黄色いベストに比べれば組織率は低いから、数のインパクトは弱いが、それでもパリのパンテオンでこの7月12日に黒いベストのデモが行われた事実がある。

その後黒いベストが拡大し継続している様子はなく、黒人と不法移民のデモはアルフォールヴィルのクロノポストに収斂しているようである。

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