パリ VS フォンテーヌブロー (1) 〜ナイトライフかQOLか、無い物ねだりおじさんが語る〜

ただ、深夜0時を回ってもいないのに、街が静かということは、ナイトライフがほぼ死んでいるということでもある。

パリならどこかしこにも酒場があるが、ここでは、町の中心部のほんのわずかな二筋の交差する横丁と大通りに10軒ほどの飲み屋である。

イベントごともパリでは美術館だのライブだの色々あるが、フォンテーヌブローにはない。

あくまで、小さな街フォンテーヌブローは、上流に落ち着いて住むための街なのである。

僕は、東京パリで夜遊びの限りをノンストップで尽くしてきたが、こうしてナイトライフの下火な街に住んで初めて、毎晩のように飲みに繰り出し、夜遊びに明け暮れた日々を懐かしく思い返しながら、郷愁を覚えるのである。

パリにいて、その人混みと冷淡さに嫌気がさすと、小ぎれいな地方都市に憧れる。

小さな地方都市にいざ住むと、その規模の狭さと、静けさに比例する活気のなさ故に、都会を懐かしく思う。

空気の良さ、治安、マルシェの物産の美味しいこと。適切な物価。小ぎれいな人々、優しい店員。

クオリティーオブライフは、完全にフォンテーヌブローに軍配が上がる。

夜遊び、これを支える交通などの機動力、イベント、文化の発信力。

これは、パリに軍配が上がる。

パリはお江戸東京、大阪、京都の三都よりはるかに小さい。とはいえ、あれでヨーロッパ随一の大都市なのだ。せかせかして汲々してお世辞にも暮らしやすいとはいえないが、やっぱりヨーロッパの都なのだ。

 

そう遠くない間に、フランスからお暇する気は満々である。

僕はそもそも、歴史学をやりつつ日本を外から見て他国と比較しながら知るために外国を志し、それがたまたまフランスであっただけの人間である。

一度の人生この国にこれだけ住んだら、もう充分である。

しかし、どういう運命かこの街に流れ着いたからには、転進までただ大人しくしているつもりはない。

やっぱり遊び好きな性格はいかにもしがたい。

いかに、酒とともに人と交わり、フォンテーヌブローをあまねく見聞するか、勝負所だと思っている。

この街の単なる住民ではなく、メンバーとして入り込めれば、パリとは違う、フランスの、ある意味古き良き、伝統的な暮らしを知ることができる。

この街に外人などほぼいない。

街に繰り出せば、しばしばあいつは何者だという目で見られる。目立つのは仕方ない。

パリにいれば、外人慣れした都市ゆえに、ジロジロ見られることはないが、この街では、僕は見るからに異邦人なのだ。

パリは人種のるつぼとして特殊である。

しかしここはそうではない。フランスの田舎である。

 

さて、日本男児の度胸の見せ所。

パリにはもう住みたくないが、しかし都市の夜遊びが恋しいという無い物ねだりな心のままに、この地元に潜ってみよう。そう思っている。

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