日本とフランス警備員の違い

外国から日本を眺めてみると、ふとした瞬間に、日本の特殊な面に気づいて楽しくなることがある。

僕のこうした最近のマイブームは、フランスで警備員を見ることである。

フランスは概して治安が悪く(治安が悪い地域が多い、と言った方がいいかもしれない)、悪人が屈強に反撃してくることがあるので、警備員が至る所にいる。
大きいスーパー、ショッピングセンター、高級ブティック、ナイトクラブ、人でごった返すバー、大学、役所、イベント会場、パリ日本文化会館、日本大使館。日本以上に警備員を見かけることが多い。

そして、彼らのほとんどは大柄な黒人やアラブ人で、やんちゃ者を取り押さえるぐらいならお茶の子さいさいという顔をして立っている。

事実として肉体労働者たる警備員の社会階層は低く、決して見上げられるような職種ではないから、結局のところ、移民の仕事になる。また、肉付きからしても、黒人には他の人種は叶わない。

日本で、こうしたどこからどう見ても勝てなそうな黒人などの警備員たちは六本木のクラブ界隈にしかいない気がする。

フランスの警備員は、得てして、黒の動きやすいスポーツウェアの制服のようなものを着て、腕にセキュリティーの赤い腕章をつけている。警棒やスタンガンなどを持っていることもある。
そして、がたいがいいから存在自体がハードボイルドである。

では、日本ではどうだろうか。

警備員は動きづらそうなスーツ式の制服を着て制帽を被り、ひょろひょろのおじいさんや、年齢のいった主婦も多い。ワンオペレーションのことも多いから、警備員が人を守れる気がしない。
きっと、わんぱく坊主が暴れ出したら、警備員の方が負けてしまう。

この比較で、日本は警備員が体を張って警備をすることを想定していない社会なのだということがわかる。

また、警備員に準じるような仕事である、みどりのおじさん、みどりのおばさん、自治会のパトロール、こんなものも、フランスからすると考えられない日本社会の役である。
不審者が交差点にナイフを持って突入してきて小学生を狙った場合、みどりのおじさんなるおじいさんでは太刀打ちできない。

どうして日本の警備員は弱々しいのかなどと、歴史を少し考えてみるとやっぱり今と似ている。
今は昔の上に成り立つから、至る所に残り香があり、警備に関してもそれは同じである。

「火の用心」などと言いながら、火元の注意を住人に促したりする、江戸の木戸番があるが、これはほとんどが老人であったと言われる。
関所になれば騎馬武者が番をするし、城下でも武家地の辻番は大名家の足軽あたりがやるから弱いとは言えないが、町人地などの番はほとんどが老人男性である。

黒澤映画の用心棒の半助なる番太の時代考証はおそらく正しいはずで、日本の番人のイメージは江戸以降、この老人男性イメージで構わないと考えられる。

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http://www.nbywba.com/jingdianjuben/2889.html

すると、現代日本の警備員の多くが老人男性であることを考えても、日本人の「番」に対する態度が今に始まったことではなく、元々のほほんとしていることが窺える。

この動画はフランスの警備会社を紹介するものだが、やっぱり日本とは違いすぎる。

日本というのは公共の場が平和なんだなとのほほんと感じざるを得ない。

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1 Response to 日本とフランス警備員の違い

  1. ヒロムチ のコメント:

    おもしろいです。最近警備のバイト始めたのですが、警備員には警察官みたいな権限が与えられていなくて、ほんとにただの壁になることしかできなくて、反撃は基本的には正当防衛の範囲内でしか許されていないので、屈強な黒人とかだと、過剰防衛で法律上負けてしまうんじゃないかなと思われます。日本とフランスなどの外国では、治安というのは本当に違うとおもいますね。

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