さらばパリ(1)〜6年間もありがとう〜

しかし、恵まれた環境にあっても、それが本当に良い環境かという疑問が常に心の中にあった。
パリに住むということは、学業や遊びは普通全てパリで行われるから、行きたい時にさっと大学に行け、あっちこっちにすぐ動け、大体は歩け、夜中に終電を超えてもタクシーというような、フットワークの軽さはある。

しかし、「狭いのに法外に高い家賃で、パリの物価もおかしくない?」ということを、気づいていながら、「パリを出たら汚くて危険な郊外しかないよな」という勝手な思い込みの中で、それに甘んじたのである。

しかし、いよいよおじさんという年齢になった。鍛えているのに、新陳代謝が悪くなり、酒の吸収に伴う脂肪の増加が誤魔化せなくなったことがその証左だと思う。
そして、女の趣味も変われば、考え方も落ち着き、「パリで友達と毎晩夜遊びに繰り出さないなんてありえない。つまらなすぎる。」というような考え方がとんとなくなってしまった。
今では闇雲に何でもかんでも繰り出すのではなく、気心の知れた仲や、会いたい人がいたり、行きたいメンツなら行くようになった。

だから、ここ一、二年でパリに何が何でもいたいという気持ちがなくなった。

さらに、本が増え手狭になり、家の使い勝手も悪くなってくる。オヤジになり、価値観やライフスタイルが出来上がってくると、家具付き物件だから、大家の趣味のインテリアが気に食わなくなる。そしてパリに対する疲れが年齢とともに増大してくる。そして、13区は大学から近いから良いものの、ビルだらけの薄汚い中華街の真横に住むと、その街を好きになれないだけに辛くなって行く。

自分の趣味的には、パリでそれなりに広い家に住み、人間的生活を満喫したいのなら、高級なエリアである16区とか17区の落ち着いたザ・パリな街で、家賃一月30〜40万以上を払い、50平米以上の家に住まない限り不可能だと思う。しかし、金持ちではないからそんなことはできない。

それか、パリで仕事を毎日していて、電車の遅延や運休など、交通の問題が多いフランスで、郊外には出れないし、家には寝に帰るだけだから狭くても良いと腹をくくるか。
しかし、自分は、30平米もあっても、普通収納がないから、やたらめったら家具が場所をとるパリの家は辛いし、狭すぎる家は好きではない。

月収は50万ですと言えるような、超高給取りでない場合、平均月給が20万に満たないフランスにあって、人口過多でインフレが起こり、物価と家賃が高いパリでは、普通の人間は家賃に月給のほとんどが消えて行くという収支になるから、夫婦共働きなどを除けば人間的にパリに住むことはできない。
パリに住む移民はといえば子供を3人以上作って、生活保護を受け、法外に安いHLMという団地に住むか、大人数で狭い家に暮らす。

そして、汚く臭く狭い公共交通機関を使わないで、常にタクシーで移動し、ストレスをかけないようにしながら、たまには指圧にでも行って、パリで快適にそこそこ広い家に暮らそうと思えば、金持ちでもない限りできない。

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4 Responses to さらばパリ(1)〜6年間もありがとう〜

  1. Yoshiko Nomura のコメント:

    こんにちは!
    6年間、色々な経験をされたのですね。
    日本人特有なパリへの単純な憧れを、6年住んで冷静に分析された世川さんの思いが良く伝わります。人生に何が必要か、人それぞれ、その時その時違うけど、世川さんの本質的な想いを貫く精神は素晴らしいですね。新たな土地でまた羽ばたいてくださいね!応援しています!また会える日を楽しみに✋️

    • yuta.segawa のコメント:

      ありがとうございます!恐縮です。
      フォンテーヌブローにはぜひお越しいただきたいと存じます。
      また、近々パリでお会いいたしましょう!

      • Yoshiko Nomura のコメント:

        はい!私もフォンテーヌブローには、行ったことがないので、ぜひともです。また近くなりましたら、連絡しますね。
        それまでに美味しいレストランを探してくださいね!
        くれぐれも健康には、気をつけてくださいね!

        • yuta.segawa のコメント:

          もちろんです!

          ありがとうございます!
          お互いに元気で、お会いしましょう。

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