孤独とフランス人・孤独と日本人 (下) 孤高とボエームと粋 〜山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』によせて〜

2. フランスにいた孤高で粋な伝説の日本人

フランスに住んだ粋な日本人を挙げるとするならば、九鬼周造と永井荷風に尽きる。と僕は思う。彼らは、日本人として十二分にフランスと日本を比較し、書き残してくれた。そして、孤高にしっかりとさすらって見聞をされた。

僕はいくつかの本や論文との出会いに影響されている。
例えば、ブログのタイトルもそこからきているが、江戸時代後半に、武陽隠士という、おそらく江戸にいた浪人だと言われている正体不明の男が書いた長大なエッセイ『世事見聞録』。彼が当時の世相をエッセイにして書き溜めてくれたおかげで江戸中後期の相当のことがわかる。

永井荷風の『ふらんす物語』。これは、明治40年から、20代後半の荷風先生がフランスに10ヶ月住んだ時に感じたことが、物語としてつぶさに描かれている。

九鬼周造『いきの構造』。これも、ソルボンヌに大正の末に留学していた九鬼先生がフランスから日本を比較して書いた日本文化論であり、これは、日本人の本質を理解する上で押さえておきたい。

そして、近衞文麿「欧米本位の平和を排す」。これは、白人たちが平和、人道と言いながら、ほかの人種を差別し略奪することを偽善であると痛烈に批判し、日本こそが、白人が唱えるうわべの平和人道ではなく、日本の正義人道に基づき、人種差別の撤廃を推進し、平和な世界をもたらす旗手とならんと説いたもので、全く今と文麿公の時代において、白人社会のロジックや社会の構造に秘められた偽満偽善が変わらないことを示している、欧米に住むのなら尚のこと一読しておきたい論文の一つ。

今なお白人が世界を動かすが、日本も大国化した過程でユーラシアや南方で暴れてこれに挑戦してみたし、今は中国が現状の世界秩序の変更を試みている。同じアジア人といえども、中国は傲慢無礼者で、善隣の気持ちがないから大東亜共栄という理念がない。よって、日本は中国と共に天を戴くわけにはいかず、この増長に上手に抗い、国の独立を確保するより他ないが、中国はあまり派手にやると、ある時、世界平和のためというロジックで手を結ぶ欧米ロシアの全てから、完膚なきまでに潰される違いない。

帝国主義の時代に、白人国家と同じように侵略をして勝ち得たものも、三国干渉などで無理に返還を余儀なくされたりと、白人と同じように日本が帝国主義を謳歌し、白人の牛耳る世界の現状を変更することは、結局許されなかった。今の日本は、白人が決め続ける世界の秩序と、現状の変更を試みる中国との狭間にあり、孤独にしたたかに、身を振っていくより他ない。
今もって日本人なら誰もがこの近衞公の論文に共鳴すると思うが、二度の大戦を経、技術の革新を経ても、昔も今も同じロジックで、世界平和と言いながら白人の思うがままに握られている世界の現実を改めて考えさせれる。

差別やら白人の偽善に関してはまた別に論じようと思うが、とかく、目下、中東の平和のため、子供がかわいそうと声高に言いながら、日本も含めた列強の国民生活に直結する石油価格が勝手に中東で調整されたり、白人の思うように動かない国が生まれると不都合であるから空爆している、という偽善のロジックは、こちらにいれば、日本にいるよりも手に取るようにわかる。あとは、欧米各国で思惑が違うからロシアと西側諸国の空爆する先が違うだけの話。アラブ人よ気張ってくれ。
また、公は第一次大戦後の欧米見聞録も書かれている。

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