フランスで国鉄沿線に住む地獄 〜カリカリおばさん・カリカリおじさんとの遭遇〜

ここからは、バスで起こった二つの出来事をお話しする。

1度目は、ムーランの駅で振替バスに乗ったとき、20分ぐらいバスが出発しなかった。
すると黒人のおばさんが怒り狂って、バスの乗車案内をする駅員に文句を言い始めた。
駅員は次に着く電車を待っていると言ったが、おばさんの言い分は、「振替輸送なら毎電車分バス出しなさいよ、国鉄は客のことを考えてないじゃない。」というものであった。
ここは僕も納得する。

ここからおばさんは、「私なんか毎日仕事で帰ってきて疲れて、振替輸送させられて、朝は早く出なきゃいけないのに」とつらつら文句を続けたが、別の女性客に、「私も同じなんだし言っても無駄だから黙って」となだめられて終わった。
確かにわめいたおばさんもカッコ悪いが、これも気持ちが分かる。

フランスはお客様第一の文化はないから、振替輸送なら、電車の便に応じてとか、客からすれば当たり前のことがなされない。

これは女騒動であった。まあ良い。

 

2度目は男騒動である。

この日、パリリヨン駅22時16分発の電車が運休となった。人の噂を盗み聞くと、運転士が来なかったらしい。ガリア人の仕業に違いない。

これに乗っていれば、通常通りの運行で、みんな思い思いの駅までいけたから、その後の電車が運休になるのとは、うんざり感が違う。

ただでさえ、パリで余計に30分も待たされみんなうんざりしているのに、電車運休のせいでムーランで降ろされ、振替のバスに乗り込む。

乗り込んだはいいが、10分ぐらいして、旅客が多すぎて、フォンテーヌブローには個別に直行バスを出すから、フォンテーヌブローの人は、今来た隣のバスに移ってくださいと言われる。

フォンテーヌブローは白人ブルジョワの街だから、白人の小ぎれいにしている人たちがどっと立ち上がり、私もそれに続いた。

私はたまたま空いていた席に座るが、隣は暗いのに文庫本を持ったいかにもインテリそうな女性であった。

しかし、移ったはいいが、バスは10分以上発車しない。

この女性が案内の男の駅員に「まだバスは出発しませんか?」と上品に尋ねた。
駅員は「もうしばらくお待ちください」と。

私の真後ろの白人おじさんが便乗して駅員に向かって怒り出した。

「なんでバスを移って、誰も乗ってこないのに、まだ待たされるんだ!」
「国鉄の規定では列車到着から10分は発車できない」
「馬鹿言うな。馬鹿野郎。馬鹿げている!」「列車運休してるんだぞ!」

男がずっと文句を言っていると、なぜか1人の黒人男性が乗車してきた。
駅員はここぞとばかりに、
「ほら待っていたからお客さん1人乗れた〜。」と皮肉を言い、男は「そんなたわごとを!」などと言い返しつづけて、バスは出発した。

この客の怒りは収まらず、大きな独り言で「国鉄馬鹿げている」などと続けていた。

バスが駅のバスターミナルを越えたところで、通路反対側の斜め後ろの白人男性が、「うるせえ、いい加減にしろ」と言い、怒れるおじさんが立ち上がると、これも立ち上がって一触即発である。

しょうがないから、前の席の僕がこのおじさんに「落ち着きましょう」と言って、肩を持ってお座りさせ、おじさんも聞き分けがよく、収まった。

しかし、運転手が怒ってしまい、バスを止め、電話し、数分停車した後、先ほどいちゃもんをふっかけられていた駅員が鉄道警察とともに引き返してきて、このおじさんを連行していった。

全くの時間のロスである。

フランス人の不手際というのは人をイラつかせるのに十分過ぎるから、このおじさんの怒りもわかるが、とはいえ、短気は損気を地で行ったおじさんのシーンであった。

カテゴリー: お遊び, 日仏比較 パーマリンク

コメントを残す