フランスと大麻

実に大麻は公然の秘密的嗜好品と化しており、友達の家のパーティーに行ったり、酒場に行けば、大麻を吸う人間に出会わないことはない。

ある日ジャズバーでドラマーの60過ぎの爺さんにタバコを一本くれと言われてやったら、そのタバコを紙の上に崩して、改めて手巻きタバコに移し替えて何をするかと思ったらしっかりとマリファナを混ぜて表で吸い始めた。
ピアニストのユダヤ人も、蘇った大麻型ビルエヴァンスのなのか、ビルエヴァンスと同じようなメガネをかけてマリファナを吸っている。

友達の家に行けば、誰かが大麻を持っているから吸いたい人間で回し吸いをするというのは、当たり前というか100%起こる不可避の光景である。ナイトクラブに行けば絶対に吸っている人間たちがいる。

このため現代のフランスにおいて嗜好品と化した大麻への向き合い方は三つあるが、タバコと完全に同じである。

1.大麻を自分で買って常習する者。

2.  パーティーなどで友達が持っているなら吸わせてもらう貰いタバコ的貰い大麻主義者。

3.  興味がなかったり好まないから吸わない者。

では、大麻をどこから仕入れるかというと、ブローカーもいるらしいが、どこかで栽培している人間がいて、これが友達、友達の友達と売りさばいて軽いビジネスにしている。主なラインナップには、葉っぱのマリファナと、大麻樹脂のハシシがあって、葉っぱの方が高いがそれでも10ユーロや20ユーロという二三千円程度で、ジャンキーでなければ数週間持つ量手に入るそうである。

僕の周りには、大麻を常習する知人友人が、四人はいる。

全員白人で、一人は憲兵の息子、一人は馬を数頭所持しているフランスの大企業の元社長の娘、もう一人は親友に映画会社のアーカイブズの契約社員のポストを譲った女友達。あとは、友人の妹で常に大麻を持ち歩いていて、ホームパーティーでプカプカやる子。

こんな塩梅であるが、日本だったらこういう人間はすぐに逮捕されるし、我々聖人級善良市民は彼らとは友達をやめなくてはならないだろうし、人でなしと罵りながら社会に対するアピールとして毛嫌いしなくてはならず、彼らもヤバイ奴というレッテルを貼られ社会的に抹殺されるのであろうが、彼らは極めて好人物である。

また、用法用量を守って使っているから、ジャンキーというわけではなく、挙動不審などということもない。

しかし、最近僕の友人女性のヘビースモーカーがついぞタバコが切れると手が震えるようになってしまったように、タバコでも酒でもなんでも適量であれば精神安定の薬や社交の鎹になれど、オーバードーズはよくない。

パリ大学の歴史学部にいた大学教授の息子は完全なジャンキーであり、授業の合間になると学内でマリファナを吸っていたが、常時目が虚ろで、幽霊みたいな薄気味の悪い奴であった。根は優しい奴だから何度かみんなで飲んだが、奴の話はつまらない。噂によると、マリファナ中毒からは立ち直ったものの、今はアル中だという。

覚醒剤などの化学物質は知らないが、酒、大麻が中毒になるかならないかは個人個人の精神性が大きいであろう。
逃げで酒や大麻に行く人間はそれに飲まれるが、あくまで嗜好品としてのお付き合いができているならおそらく飲まれない。

日本においては、伝統に今のところ嗜好品としての大麻吸引がみられないから、嗜好品にまで大麻を拡大するのは如何かと思うし、フランスのように大麻というアングラ文化が公然と表に出てきてマリファナ中毒者が溢れないようにしなくてはならない。そのため、こうならないように嗜好としての大麻を規制しながら、伝統文化と医療に限ってもとのように戻すという意味で限定的に解禁すべきであろう。

その代わり、こういう類の解禁は、拡大解釈を防がなければならないので、ムチは強力に振るって、自然薬物である大麻以外のあらゆる非自然物の薬物は今以上に厳罰に処すべきとも思う。

ヨーロッパに住んで、あるいは旅行でも、タバコのようなものから違う強烈な匂いがしたらそれはマリファナであり、住めばこの匂いを嗅いだことのない日本人などいないと思われるが、僕に言わせれば、マリファナの匂いはヨモギの匂いである。
香ってくるこの匂い、僕は嫌いではない。
それは僕が日本人という神道に裏打ちされた民族であるから、遺伝子が懐かしくその大麻草の匂いを思い出すのかもしれない。

ところで、なんでヨモギとマリファナの匂いが似ているのだろうと思って調べていたら、日本のヨモギも昔より日本では知られる薬であり、西洋のニガヨモギは幻覚作用もあるという。ヨモギも大麻と同じで自然の薬草でもあるわけだ。

車寅次郎の実家は団子屋の設定であるが、柴又帝釈天の門前の名物は高木屋をはじめとする草だんごである。縁日にしか開かない地元民のみぞ知る団子屋もあったが名を忘れた。かつて柴又に住んで草だんごの味を知る男としては、宜なるかな、そりゃ芳しいと思うわけさ。

ということで、医療用にせよ非合法の状態のまま大麻を日本でするというのはいただけないが、今のところ、興味のある人間はとりあえず合法的に草だんごを食べまくるのが良策であろう。
確かになんだか草だんごはツーンとした清涼感が味わえる。

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