さらばパリ(2)〜地獄の引越。しかし友情。これがセ・ラ・フランス〜

当日の朝、僕と車を運転してくれる友人が、レンタカー屋で待ち合わせ、車を借りようとした。

しかし、ネット予約で、国際免許を持たない僕の代わりに、運転人の名前を彼に、カードの支払いを僕のカードでしたことが問題視された。

繰り返すが、これは大手レンタカー屋の話である。日本でいうとニッポンレンタカーとかそういう類の安心安全の(はずの)大手である。

受付の女に、名義人がズレているので、お貸しできません。払い戻しも今日のために車をキープしてあるので、受け付けられませんと詐欺みたいなことを言われる。

10万円の損失とかなら、怒るかもしれないが、1万いくらだし、ここでゴネるのも美しくないし、皮肉屋なので、「日本ではこんなことはありえないし、消費者は保護されてるけどね」とバリトンボイス中音量で普通に笑顔で言っておいた。

極めて小さい店内であるから、別の3組ぐらいの人たちは、みんな何が起きていてどうして借りられないことになっているのか経緯を知っているから「えっ?まじ?金払ってるのに借りれないの?」という顔をして御愁傷様の顔で見てくれた。

水戸藩儒であった会沢正志斎先生は、ならずもの西洋世界が武力をして帝国主義に走り、全てのグローバルスタンダードを作っていくことに、江戸の終わりに警鐘を鳴らされ、日本が世界において実は優れていることに既に気づいておられたが、それが本当のことであるということは、百数十年を経た今日でも西洋に住めばわかる。正志斎先生の御知見はノストラダムスの大予言よりもはるかに正しい。

日本人たるもの、西洋を上に見たり、西洋法や西洋社会を模範であると勘違いしたりしてはならない。

フランス人は犬の糞を片さないこともそうだし、よくエコロジーとか温暖化防止とか言いながら、タバコをポイ捨てしたりするので、かくも畏き高天原と黄泉の国の中間に位置する中つ国、日の本に生まれた私としては到底理解不能で、フランス人を前にしてよく皮肉るが、皮肉を挙げれば実にキリがない。

現代社会に問題の多い日本ではあるが、日本を知るためには、西洋に住み、西洋社会の品の無さを目のあたりにしたり、こうした日本では起こり得ないめちゃくちゃなトラブルに巻き込まれるのも悪くない。

さて、なぜこんなことが起きたのかという顛末を詳しく言えば…

日本においては、僕がフランスで良い歳こいて親のクレジットカードを切っているように、きちっと支払いをすればカードが親のであれ何であれ、問題視などされない。

これは僕の引っ越しであり、レンタカーの予約は僕がやるのは当然で、運転名義こそ友人になれど支払いは僕のカードが当然だと日本脳で事を運んだのがまずかった。

そして、これは詐欺だが、「クレジットカードの名義人と運転手は一致していなければならない」と、普通は読まないような注意書きのところに小さく書いてある。

だったら、予約に名前をいれるんだからカードと運転手の名前が違うと、自動でサイト上で注意するなりすればいいのに、これは明らかに過失を誘うための罠に等しい。

ということで、改めて友人のカードで借りようとし、更に、急遽我が旧宅に待機するはずだった親友も駆けつけてくれたが、学生の友人ゆえ、仔細あり、借りること能わず、現金での支払いは、事故の時のためにクレジットカードを押さえておきたいから受け付けていないとのことである。

そして、別の友達を呼ぼうとしてくれたが、11時から18時までは、パリは環境デーで車が走れないので、時間的にもTime Overであった。

友人のクレジットカードの件は、現に私が親のクレジットカードをフランスで切っているように、ビジネスマンでもない限りは金がなくて、失業率が全体で9%で若者になると23%というとんでもないフランスにあって、しかも、仮に仕事があっても平均月収15万のフランスで、私より若く25にも満たない若者の銀行口座がどうなっているかと考えれば、合点いただけるはずだ。

とりあえず、我々はカフェで一服し、彼らはこんな会社に金なんか使うことないよ、と、次の金曜日に、双方の親の車を出してくれて、正規の引っ越しの段取りと相成った。彼らの優しさには感謝しかない。

そして、私はそのまま、入居契約のためにフォンテーヌブローへ向かった。

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  1. H.Megumi のコメント:

    フランス式洗礼を受け乍らのお引っ越し、お疲れ様でした。
    何処に居ても何が有っても、信頼出来る友の存在は、何物にも変え難い宝物ですね。
    新しい場所での新生活、楽しんで下さい。
    <幸せな結末>UPも楽しみにしております。

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