エスターテ 〜2019年、イタリアの夏の残影〜

イタリアは麻薬である。
僕はイタリアにいると、陶酔する。

しかし、薬が切れ、酔いから醒めると、イタリアへの禁断症状は辛く、徐々に激しさを増す。

そして、太陽なきフランスの冬、僕はイタリアの夏を暴れたい程に渇望する。
その苦痛でイタリアを憎んでしまいそうになる程に。

Estate。エスターテ。夏。
ボサノヴァの神ジョアン・ジルベルトも、少々歌詞を改変し、そのままイタリア語で歌えば、ジャズにもなり、ミシェル・ペトゥルッチアーニもチェット・ベイカーも奏で、果てはアンドレア・ボチェッリも朗々と歌う歌。
もとは、イタリアのジャズピアニストで作曲家、歌手のブルーノ・マルティノがブルーノ・ブリゲッティの詩に曲をつけ歌ったこの歌では、イタリアの余りに美しい夏への禁断症状が歌われている。

この詩は、完全オリジナルのブルーノ版で、僕の心を全て歌ってくれている。

Estate
Sei calda come i baci che ho perduto
Sei piena di un amore che è passato
Che il cuore mio vorrebbe cancellare


お前は失った口づけのように熱く
お前は愛で満ち溢れている
俺の心が消したいと願う過ぎ去った愛のように

Odio l’estate
Il sole che ogni giorno ci donava
Che splendidi tramonti que creava
Adesso brucia solo con furore

夏を憎む
太陽は毎日降り注ぎ
輝ける日暮を生んだ
今はただ狂おしく燃えるだけ


Tornerà un altro inverno

Cadranno mille petali di rose
La neve coprirà tutte le cose
E forse un po’ di pace troverà

また冬が来る
バラの花びらは山のように落ち
万事を雪が覆う
きっと少しは安らぎを見出せるだろう


Odio l’estate

Che ha dato il suo profumo ad ogni fiore
L’ estate che ha creato il nostro amore
Per farmi poi morire di dolore
Odio l’estate
Odio l’estate

夏を憎む
夏は香水をすべての花に振りまいた
夏は俺たちの愛を生み出した
俺の死ぬほどの苦しみに苛ませるために
夏を憎む
夏を憎む

 



 

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