黄色いベスト運動(2)~EUのほころびの中で~

しかし、今までは人間の愚かさ故、常にヨーロッパは戦火の中にあった。

男が死に、働き手が必要になり、街が壊れ、山ほどの仕事が生まれ、戦後復興めがけて景気が好転する。あるいは、実は今もそうだが、帝国主義で他から富と資源を分捕ってきた。

戦争を除けば自国の内に経済が自動で回るモーターをもたない欧米人というのは、本質的に富を他から引っ張ってくるしかなく、帝国主義の精神性が備わっている。

燃料税増税反対といっても、ミクロにフランスの社会問題として見るのではなく、マクロに多面的に考えれば、燃料がフランスにあるわけではない。アラブの石油を頼りに、いかにアラブを買い叩いて、いい暮らしをするかという、他国や他文化への抑圧と収奪を平気でやってのける欧米社会の傲慢、という本質が裏にあることを見抜かなくてはならない。

しかし、今や支那が軍事的にも経済的にも強大になったように、第三世界も侵略されないだけの力をつけ、逆に侵略を始めようとしている21世紀の初頭にあって、白人が自分の利益のためなら、何でもかんでもできるという状況にはない。

そして、それと同時に、ヨーロッパ統合の歪みが隠せなくなった昨今である。あまりに悲惨な、第二次世界大戦による欧州の殺戮と分断の後に、EUをして、ヨーロッパ経済を統合し、一つのヨーロッパという意識をして、ヨーロッパの内紛を克服したに見えたヨーロッパであるが、各国の国民性の違いや、産業構造の違いや、どうしても相容れない民族の違いがあり、ヨーロッパが一体・一枚岩になることはついにできなかった。

EUもソビエト連邦のように、スローガンと発想だけでハッタリをかました、試みとしての空想と虚構のオーガナイゼーションであったに過ぎない。ヨーロッパの人々には、私たちは白人とか、私たちはヨーロッパ人という感覚はあるにはあるのであろうが、これらは、やっぱり私たちはフランス人・イタリア人・ドイツ人・英国人といった、国民・民族というアイデンティティーを超えることはできなかった。

誰もが自分自身を考えるとき、たとえば、僕世川は日本人だと思っているように、日本人というより、僕はまずアジア人です、などとは思わないのである。

アジア人でモンゴロイドあるところの大和民族の日本人の世川祐多であって、日本人の大和民族であるところのモンゴロイドのアジア人の世川祐多ですとは思わない。

このようにフランス人だって、まず先に、自分はフランス人だと言う自覚がある。

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