黄色いベスト運動(3) ~ナショナリズムの回帰を感じながら~

3.左翼のものでもあり右翼のものでもあるナショナリズム

日本人にはいまいちピンとこないかもしれないが、日本の左翼と世界の左翼は確実に違う。
ヨーロッパでは愛国の左翼が多い。日本は愛国と言ったら右翼の感しかない。

そして、最たる違いは、ヨーロッパの左翼がアナーキストを除けば、反グローバリズムのナショナリストであるということである。ヨーロッパは左翼も右翼も亡国を嫌うのである。社会主義とか左翼というと、なんとなく、自分の国が嫌いで、反権力思想を持ち、自国というよりかは他国に門戸開放する拓けた人たちというものを、イメージするかもしれない。

ナショナリズムをして、左翼と右翼を分かてないことを説明するのに、いい例がある。右翼と今では目されるナチスであるが、実はこれは左翼とも考えられている。
正式名称が「国家社会主義ドイツ労働者党」で、れっきとした社会主義政党であったように、ナチズムも左翼思想を十二分に包摂し、労働者たちの人気に裏打ちされた国家社会主義というナショナリズムの一種であった。このナチズムは今も確かに存在する。

実は、現代も、左翼たちは労働者を中心にナショナリストなのである。
「France Insoumise 反逆のフランス」を率いる左翼の首魁、マルクス主義者、ジャンリュック・メランションはEU離脱を試みているが、これが左翼のほとんどの支持を集めている。そして、「フランス共産党」も、EU離脱を掲げ国際主義やグローバリズムとの決別を訴えている。

可視化すれば一層笑えるのが、EU離脱を訴えるフランスの政党が、相容れないはずの、右翼と左翼で入り乱れていることなのである。

右翼

Rassemblement national (国民連合 ルペン)

Mouvement pour la France (フランスのための運動)

Rassemblement pour la France et l’indépendance de l’Europe

(フランスとヨーロッパからの独立のための連合)

Debout la France(立ち上がれフランス)

左翼

La France insoumise (反逆のフランス メランション)

Lutte ouvrière (労働者の闘争)

Parti communiste français (フランス共産党)

Nouveau Parti anticapitaliste(反資本主義新党)

Parti de gauche(左翼党)

黄色いベストたちの主流は職工左翼だが、これもまたフランスを第一に考え、フランスをどうにかしろというナショナリストが主流なのである。

目下フランスでは、EUの歪みが極地に達したところで、依然タブーであるナショナリズムがネットの世界から、左翼も右翼も入り乱れて、現実世界に出てきた。

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