黄色いベスト運動(3) ~ナショナリズムの回帰を感じながら~

他国でも、同じである。

最たる歴史的現象はトランプ現象である。「黒人でマイノリティーで戦争反対で社会主義的」というメディアが好む類の政治家オバマの後に、あれだけメディアがネガティブキャンペーンをし、泡沫候補扱いしたのに、ネットの力が勝り、トランプが大統領になった。トランプは、あんなに爺さんなのに民衆にコミットし、Twitterとかネットを駆使している。

安倍現象もそうである。メディアや研究者や言論人で安倍晋三を支持するものは希少中の希少。既存メディアでは、叩かないものを見ない。しかし、選挙では勝つ。ネットでは支持者が目立つ。

これが、メディアや学問と一般市民の埋めがたい乖離なのである。
万国のメディアは依然、ブラジルの大統領が極右になり、欧州の至る所で極右が台頭しているのが問題であると報じる。しかし、残念ながら、彼らが重要視する民衆の多くは選挙になるとこぞって、極右といわれる政党に投じるのである。

フランスにも、そういう状況がきている。表立ってルペンが好きなどと言う人はいないし、学問の世界ではそんなことを言えば殺される。しかし、ナショナリズムがネットで息を吹き返し、もう止まらないというのが、21世紀を十数年越えた、今なのである。

僕はフランスで右の研究者を知っている。みんな黙って澄ましているが、語ればいわゆる右派のナショナリストだ。フランスファースト。

そして、黄色いベスト運動はナショナリストの左派を基軸に、マクロンを下ろしてナショナリズムを回帰させたい一部右派のフュージョンである。

ここに読み解くべきは、ネットをして、EUがフランスという中心国の足元から崩れ、国家財政とともに、ヨーロッパの中のフランスという国体と経済が沈み行き、ナショナリズムが再び浮き上がってきたということである。

右翼も左翼もナショナリストであり、右派政党も左派政党もEU離脱を訴えている。
左派から中道へ寄せたマクロン大統領は、すでに政治力を失い、じきに完全敗北する。
経済の行き詰まりに対し、民衆は、強い変化を求める。EUに残りながら、善後策を探しますなどという、生ぬるい雰囲気はもはや好まれない。

「私たちのフランス!」という国威が左からも右からも発揚され、大きな変化が生まれる。

次は、おそらく、中道よりも、左あるいは、右に振れる。

左翼というのは本質的に少ないから、中道に投票してきた人間が、どっちに投票するかが鍵になろう。

すると、メランションよりは、前回の大統領選でも明らかなように、ルペンの方が圧倒的に支持されている。数が多い中道右派はルペンに入れるに違いない。

僕としては、ルペンが来そうな予感がしている。

とかく、EUはもう終わる。Frexitという言葉が出てきた。
造語が出るということは、それだけ人々の間で、そういう概念が共有されているということである。大英帝国は、島国のアングロサクソンであり、大陸ヨーロッパとは分けて考えられているし、一国で強い。彼らは、そもそもEUのオリジナルメンバーからは、その大国性をして除外されていた。だから、イギリスがBrexitするぐらいは、フックとはなってもボディーブローまではいかない。

しかし、フランスがFrexitすれば、これはもうボディーブローである。北欧とか東欧も抜けたがっている国が多いから、そこらへんから、歯がポロポロ抜け出して、崩壊するか。

泥舟EUから、イチヌケピというゲーム始まるのは時間の問題である気がする。

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