熟女カルメン〜カタルーニャ独立と近親婚社会〜

彼女曰く、「カタルーニャ地方が独立したとして、経済が瀕死なのに、果たしてやっていけるのか」という不安があると言う。
僕は、「フランス側のカタルーニャ人の親友と同じようなことを言っているな」と感じる。

スペインカタルーニャは2年前に独立宣言を出したものの、スペインから無効とされ、国際社会の一国たりともこの建国を承認しなかったために、お流れになっている。

一悶着あった満州国とて、日本以外の国々で、イタリア、ドイツなど枢軸側とプラスアルファの国々が国家認証をし国交を締結したから成立できた。
一国も認めてくれないとなると、独立の機運はあったとしても、現実的に国境を画定し独立状態になれるか難しいところである。

また、カタルーニャが独立戦争にまで踏み切れなかったり、本気で独立への市民暴動が起きないのも、カタルーニャの貧困故に、スペインも貧困なのだが、しかしこの大国から分離して一体どうするのだという裏があるのである。おそらく独立すれば当面公共サービスやインフラは稼働停止してしまう。

そしてカタルーニャの独自性を彼女は語り始めた。
「私は100%のカタルーニャ人だが、両親がいとこ結婚で、おじいちゃんおばあちゃんが一緒なのよ。そのぐらいカタルーニャ人は血縁的結束が強いの。」

なるほど、カタルーニャ人と日本人がどことなしか似ている理由がここにある。

嘘っぱちを喧伝したらまずいので、研究を調べてみると、カタルーニャ人がいとこ婚をする伝統は確かだそうである。
« Les mariages entre « cousins » permettent avant tout, et ont pour but, de conserver le patrimoine au sein de cette même et grande famille »
「いとこ婚は、原則的に、財産を同一の大家族で守り抜く目的に寄与していた。」

(JOAN PEYTAVÍ DEIXONA,Famille, mariage et patrimoine dans la Catalogne moderne : l’exemple roussillonnais)

いまだに日本でもいとこ婚は禁止されておらず、悪いことでもないし、例として菅直人夫妻はいとこ同士である。
僕にも遡れば江戸の先祖にいとこ婚がいる。
我々現代日本人の全ての先祖に、養子や妾と同じく、いとこ婚はほぼほぼ存在するはずである。

ちなみに、これが、朝鮮になると違う。韓国では今は違うみたいだが、朝鮮でいとこ婚は伝統的に禁じられているし、同じ本貫地(本拠地)の同姓、簡単に言えば遠く遡って先祖が同じ金さんと金さんは結婚できないなど、制約が厳しい。

カタルーニャは伝統的にいとこ婚が禁じられていないとすると、血の結束を近いところで固めていく点で日本人と似ているな。
そう感じた。

カタルーニャ人は今やスペイン側とフランス側に分かれているが、不思議と日本人とは気が合うのも、こういう文化の類似にあるのかもしれない。

色々な勉強をさせてくれたし、日本人とカタルーニャ人の気のおけない話は尽きないし、僕は彼女にプロセッコを一杯ご馳走した。

次なる話は、「ヴェネツィアは観光地として極まりすぎて、そこだけ残念ね。」というものである。
僕は、「どの革製品の店も華僑の経営で参っちゃったよ。」と振ってみる。
彼女は、「中国人は蟻みたい。」と言い、大挙して押し寄せ巣を作る蟻を両指で表現した。

実に、ヨーロッパの人々は日本人には親切であるし、日本人と分かれば良くしてくれる。

これは、我々が異国にあってはその郷に従うという姿勢にあるのだと考えるし、そういう我々の美徳は継承していきたいものである。

カルメンは僕をトレアドールにするまでのフェロモンは発していなかった。
ただし、これが20年前なら、きっと、いや確実に彼女は麗しかった。

月は既に出て、空高く昇っていた。

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