ノートルダムのその後に

ノートルダム寺院のてっぺんがついこの間に焼け落ちたというのは、万人の知るところである。

フランスでは、関心を示す人間もいれば、全く無関心の人間もいて、移民の内には歓喜する者もいた。

ここからしてこれぞフランス、セラフランスであるが、その復元に向けての途中経過や進行形の顛末は日本では報じられない。

焼け落ちた時には金閣炎上吉原炎上とでもいうようなセンセーショナルな報じ方をする日本ではあるが、そのあとこそが、更にフランス的で面白いのにそこを報じない。
これでは、フランスの文化やフランス人たるの精神性が見えてこない。

日本は何かを断行する際には、談合なり根回しで、コンセンサスを形成して、結論ありきで丸く動こうとする文化であるが、フランスはとにかくカオスである。
もちろんフランスにも、例えて、学術会議の次期理事長に誰が座るかなどというポストの問題などで、大御所からの内々のご指名があったり、派閥で談合したり、なんとなく投票結果がわかりきっているものなど、根回しの文化はある。同様に、日本においても議論がまとまらないことがある。

ただし、概して、議論屋のフランス人の意見は決して一枚岩にはいかず、色々な人間が勝手な意見を言い、カオスな状況に陥るのが普通である。
そして、このカオスを無理くりにひと纏めにするためには、ある権力者が、上からの権力で方向性を決めて断行せねばならない。

これは、ノートルダム炎上一件に関しても同様である。

権力が湧き上がる議論をねじ伏せるやり方でないと、とてもではないがフランスの国家計画は進まないし、更に、纏めあげる権力者も、確実に反対勢力からは永久に悪く言われるから、ノートルダム寺院を復元するという歴史事象においては、名声と汚名の両方を残すと言ってよい。

今はパリの不動の象徴たるエッフェル塔も、当時は反対派からの批難で轟々であったし、今では支持者の方が多いかとは思うが、嫌っている人間もいないわけではない。

こういうことがフランス的なのである。

無論ノートルダム一件より、半年を経て、フランスのメディアや人々の間が、この問題をそれほどまでには気にしてる様子はない。しかし、それでも、再構築に向けた議論は政府を中心に進み、それが市民に伝わるにおいて、人々はそれぞれその計画に対する意見を抱くのである。

炎上から半年のうちに、どんなことがあったのか、いくつかにわけて概括する。

1. 金持ちを妬むフランス人が起こす寄付金への文句

フランス人は、とにかく金持ちを妬む性質を持つ。
ユダヤ人など大嫌いだし、ブルジョワも嫌いだし、成金も嫌いで、このように金持ちを羨ましがりながら、これを隠して妬む。

ノートルダムが炎上した時、フランスをはじめとする世界の財閥が即座に寄付をしたわけだが、素直にありがとうがいえないのが、フランス的である。

https://www.lavoixdunord.fr/570823/article/2019-04-19/sur-twitter-pamela-anderson-s-insurge-des-sommes-recoltees-pour-la

ルイヴィトンのLVMHグループ、ロレアル化粧品、トータル石油を筆頭に、ディズニーまで色々な財閥がお金を出した。

するとフランス人の一部は即座に、これを茶化す。
まだ、再建計画が始まってもいないのに、
「もう寄付金のおかげさんで再建計画がありまっせ」
と、ステンドグラスをルイヴィトンの市松模様にして茶化す。

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https://www.cartooningforpeace.org/editos/notre-dame-telle-le-phenix/

そして、マクロン大統領が、再建への寄付金を世界からありがたく受け取っていることに対し、黄色いベストが、俺たちにはしないくせにと怒る。

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https://www.pinterest.com/pin/330662797640013660/

実際に、議論でも、「国家がこれに血税を投入するのか!」などと、怒る市民もいれば、黄色いベスト運動に参加するような左翼は原則的に反カトリックだから、「カトリック教会が焼け落ちた宗教施設に公金投入かよ。」「パリのモスクが焼け落ちたらそんなことすんのかよ。」と、そういう意見を持つ人も多い。

フランス人というのは、徹底した平民根性を持ち、とにかく僻みっぽくて嫌味だから、金持ちは寄付をしないでもボロクソに言われるし、してもボロクソに言われるという、何をしてもボロクソに罵倒されなくてはならない。

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