日本に帰れば 〜東京という濁流〜

日本の時の流れは余りに早い。
外国から日本、特に東京に戻ってくると、それを強く感じる。

パリ人はフランス人たちが嫌がるほど、街ゆく人々が焦ってカリカリしていて、せわしない東京人と似ている。パリもフランスの都市や地方と比べて、時の流れが格段に早い。

しかし、パリから東京に8年の時を経て帰ってくると、パリからも格段に早い東京の時間の流れの早さに戸惑うし、日本は社会の変化がフランスよりも早いと思わされる。

東京生まれ東京育ちの僕は、帰国早々、新宿駅、飯田橋駅、渋谷駅で戸惑った。
駅の構造が変化していて、それに対応できなかったのである。
京王線はどっちだ?有楽町線の乗り換え口は?Hikarieってどこ?
東京は頭の中に細かに地図を入れて、颯爽と歩かなければカッコがつかない。

東京はあれよあれよという間に、様々な建物や飲食店が入れ替わるから、10年も東京に住まなければ、記憶にある東京と今の東京が様変わりしていて、まごつくであろう。

スカイツリーとソラマチを知ってはいたが、ミズマチなるものがあった。
銀座には東急プラザができていて、数寄屋橋の雰囲気が変わっている。

FUJIYAとペコちゃんの看板はあるが、かつてのいいともレギュラー鈴木その子の看板が消えている。

新橋有楽町間の高架下が新しい街になっている。

渋谷は、あと数回行かないと、もはや自信を持って歩けない。

東京の時の流れは怒涛である。

そして、日本。

テレビを見ると、若者がもうテレビを見るという文化を持たないことが窺える。
それは、テレビのCMのほとんどが電話通販になっていて、若者はネットショッピングで電話通販はしないから、明らかに年寄りを対象に広告を打っていることが分かるからだ。

新しい芸能人はもはや誰かわからない。

首都圏の電車には液晶パネルが必ず付いていて、動画が流されている。
タクシーやバスは新しいものにリニューアルされている。

上野東京ラインなる新しい路線が出現している。

ちょっといないだけで、日本では、流行りの芸能人も、広告のあり方も、インフラも見違えるほどに変化する。

日本は、世界的に類稀なるスピードを誇る国である。
これについていくのは大変だが、刺激的ではある。

日本人の平均寿命はたいそう長いが、日本人の人生のスピードはとてつもなく早いから、体感寿命は短いであろう。

こういう時の流れが異様に早い国は、時にじっくり立ち止まって自分たちのあり方を見つめないと、とんでもない落とし穴にハマる気もする。

特に東京で生きることは、機敏さと冷静さのバランスを上手くとって、動くべき時に動き立ち止まる時に立ち止まる、という感性を磨いておかないといけない。そう感じる。

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