嘘七百のクールジャパン

すると、そもそも洋服などはたくさん買えない。パリの家賃は法外に高く、みんな小さな部屋に住んでいるから収納もない。
そういう裏事情があるのに、日本人は無意識にパリを崇拝するから、勝手にフランス人がかっこいいライフスタイルとして、服を持たないようにしていると思い込む。ついでに、心配は御無用。品のいい本当の金持ちは、生地の良い洒落たものを素敵に着こなし、成金は見せびらかすためのブランド物を着ている。

 

さて、こうした経済的に厳しいフランスにありては、したくても消費できない社会であるということをいい加減日本人は気付くべきである。日本人のようにショッピングなんかフランス人はしょっちゅう行かない。
商売をするなら、金持ちを相手にするしかない。あるいは、庶民相手でもたまの贅沢で手の届くあたりの価格帯で勝負をかけなくてはならない。

 

このように国際情勢に疎く、西洋を崇拝し、喜んで良い方に誤解したがる日本人の性質故に、クールジャパンの戦略は失敗に失敗を重ねる。

 

よく日本で、「パリで流行の」とか、「全米が泣いた」とかそういう枕詞で商売を試み、成功することがあるが、これは日本人が国際情勢に疎いから、日本で日本人向けに成功する商法なのであって、この感覚のままに、日本人がこちらで日本を売りにした商売が成功しているように日本に発信し、日本人が飛びつくということがある。

例えをあげてみる。マンガやアニメは普通のフランス人の大人は見ない。マカロンを有難がって年中食べてるフランス人なんかいない。あの青々しく深みもなく不味いボジョレーヌーボーは、こちらでも毎年一応販促シーズンがあるが、フランス人もみんな不味いよねと言っている。これを空輸一番機の着陸シーンを放映して、「今年も来た!」などと言って大喜びしているのは日本人ぐらいのものである。

 

日本人が何でもかんでもお祭り騒ぎして、酒を呑む口実にする精神性は私も大好きであるが、その国の土地土地の酒がいいんだから、近所の地酒、伊丹や灘の下り酒、越後の酒、しぼりたての日本酒を飲みなさい。
風呂釜がない、寿司がない、天ぷらがない、日本酒がない世界に生きるのがどれだけ辛いか、皆さんはお分かりか。洋食は重いし、庶民向けの本当の和食はまだないし、私は風呂で疲れも癒せず活け締めの刺身も食えず、人生の湯船生活と食生活の半分は損している。寿司は死ぬまで毎食食べられても、フレンチでは叶わない。毎食フレンチ地獄にすれば、私の遺伝子は前立腺癌で死ぬことになっているのに、胃癌で死んでしまう。それは勘弁。

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