タクシー運転手に怒られました。ハリルホジッチ監督解任で。 〜そして考えさせられたこと〜

さて、この度は、タクシーのアラブ系の運転手に、来たるW杯の話を振ってみた。僕はもともと野球派だから、サッカーには全く詳しくないが、同乗者の方がサッカー通なので、運転手の意見を聞いてみようと思ってのことである。

また、フランスにおいては、上流階級でサッカーファンということはあまりないと思われる。日本と違って、サッカーが好きなのは、主に下層の階級であることは事実であり、サッカーは移民の娯楽でもある。

数年前、親善試合で初めて日本がフランスに勝ったとき、知人たちと一緒に観戦に出かけたが、自分たちの席はフランスサイドであった。場に浮いた感じは、巨人ファンが甲子園で巨人のユニフォームを着て阪神の外野席にいるようなものである。まずもって、白人の観客が少なく、黒人とアラブ人ばかりであることにびっくりした。そして、黒人の子供に、「スシスシ」と言われながら、パンくずを投げつけられ、親はこれを注意しないし、身をもってサッカーと人種と社会階級の問題を体感した。また、スタジアム最上階では、爆竹や太鼓の轟音と発煙筒の煙がけたたましかったが、見事にテレビの生中継ではこうしたものは隠されるわけで、テレビの技術はすごいなと思いもした。

結果、日本が勝つ。そして、フランス国籍を持ち、先ほどまでフランスを応援していた移民の人々が、選手を罵り、フランスの国旗を破いたり、踏みつけている様子を、嫌という程見て、帰路に着いたが、移民の複雑な心情や、憤懣はこういう時にこそ垣間見えるものである。

今回のタクシー運転手の、フランス代表への評価は、評論家ばりに、いい分析かもしれない。まず、フランスはジダン以降、司令塔として、チームをまとめる中心選手がいない。個々の選手の能力は極めて高いが、チームプレーができないからチームとしてはそこまで強くないという見解である。また、ベンゼマとかいう、もともと問題児で、しまいには恐喝を犯し逮捕されたアルジェリア移民の選手が選出されていないから、総力が伸びきらないと嘆いていたから、おそらく運転手はアルジェリア系だと感じた。

彼が、日本人である私に説いたのが、ハリルホジッチの解任は、けしからんということであった。アルジェリア代表を強くしてくれたハリルホジッチに、運転手は思い入れが強いのかもしれない。彼曰く、ハリルホジッチは代表監督として実績があるのに、なぜ急にW杯直前になり解任され、代表監督として実績もないような人が後任になるのか理解できないということである。そして、替えるならW杯後に替えるのが筋だろと怒っていた。
僕は、事情がよくわからないし、ただそうですかと聞いていた。

ただ、口には出さずとも、あれこれ考えさせられることはある。そして、国際的な視座から見て、日本が何かをするときに、外国の人がどう感じるかを分析して行動に移す大切さを学んだ。

カテゴリー: エッセイ パーマリンク